企業ロゴのつくり方を紹介|自社の理念と価値をデザインに反映する方法

企業のロゴは企業の理念と価値を象徴し、一目で自社と他社の製品を見分けられるようにする、ブランディングにおいて重要な存在です。しかし、優れたロゴをつくることは簡単ではありません。企業で経営やマーケティングを担当している方の中には、自社のロゴをどのようにつくればいいのか悩んでいる方もいるでしょう。

この記事では企業ロゴの目的やつくり方、デザインする上で押さえておくべきポイントや注意点、優れたロゴの事例を紹介します。

1. 企業ロゴとは企業の理念と価値を表すもの 

そもそもロゴとは、社名や商品名などを装飾的な文字・図形を用いてデザインしたものを指します。ロゴは大きく分けて、文字ベースで表現するロゴタイプと、図形で表現するシンボルロゴの2つがあります。

企業ロゴとは、企業が持つ「理念・文化や社会的な価値」を表すためにつくるロゴです。

作成した企業ロゴは名刺・Webサイト・広告などに掲載され、視覚的な認知を得られます。ユーザーは企業ロゴを通して、企業の存在や特徴をイメージするようになるでしょう。

企業の理念と価値を分かりやすい形で発信して認知度を高め、コーポレート・アイデンティティ(CI)の実現につなげることが、企業ロゴの目的です。

1-1. 紀元前3000年から存在するロゴ

ロゴの歴史は古代メソポタミア文明まで遡り、紀元前3000年頃にシュメール人が使い始めた「円筒印章」が発祥であると言われています。円筒印章は、円筒に描かれた模様を粘土板に押印するもので、所有者を示す印などに使用されました。

紀元前670年頃に登場した、世界最古の硬貨と言われる「エレクトロン貨」にもロゴが使用されています。硬貨の片面に動物などを刻印した、貨幣の品質を保証するための極印です。
時代が進み、産業革命の起きた18〜19世紀には、広告産業の急成長によりロゴの近代化が進みました。1876年、イギリスのビール醸造会社Bass Breweryが世界で初めて商標登録した三角形のロゴが、現代まで続く企業ロゴの始まりと言われています。

2. 企業ロゴをつくる上で押さえるべきポイント5選

優れた企業ロゴには、シンプルで覚えやすい、ロゴに込めたメッセージが伝わりやすいデザインである、などの共通点があります。ポイントを押さえることで、企業の価値がより伝わりやすいロゴがつくれるでしょう。

企業ロゴをつくる上で押さえるべきポイントを5つ挙げて、それぞれにどのような意味があるかを解説します。

2-1. 簡潔性

簡潔性のある企業ロゴとは、「シンプルなデザイン」をしたロゴです。

複雑な形状の組み合わせや、カラフルな色彩など、芸術的な美しさのあるデザインは人目を引きます。

しかし、デザインが複雑化したロゴは、込められたメッセージをユーザーへとスムーズに伝えられません。デザインの視覚的なインパクトが強くなり、伝えたいメッセージの印象が弱くなるためです。

シンプルで分かりやすいデザインは、ロゴに込められたメッセージの邪魔をせず、企業の価値をスムーズに伝えてくれます。

2-2. 記憶性

記憶性のある企業ロゴとは、「ユーザーが覚えやすい」ロゴです。覚えやすいロゴは、ユーザーがロゴを見たときに企業をすぐイメージでき、連想する形で企業の価値も思い出してくれます。

覚えやすいロゴをつくる際は、ロゴに込めたいメッセージに合った色合いやフォントを選びましょう。ユーザーに感じてほしい自社のブランドイメージを決めた上でデザインを考えると、メッセージ性のある覚えやすいロゴがつくれます。

2-3. 普遍性

普遍性のある企業ロゴとは、「誰が見ても同じ内容をイメージできる」ロゴです。

見た人によって異なる内容をイメージするロゴは、企業の理念や価値を正しく伝えられません。デザインを通して自社の理念やサービスをイメージできるとともに、幅広いユーザーに好まれる企業ロゴをつくりましょう。

長く愛されるロゴをつくることも大切です。企業ロゴは頻繁に切り替えるものではなく、つくった後は10年、20年と長く使い続けるケースがあります。

優れた企業ロゴは年数を経ても飽きられず、ユーザーが愛着を持ってくれます。

2-4. 汎用性

汎用性のある企業ロゴとは、「さまざまなシーンで使用できる」ロゴです。

例えば企業ロゴを広告に掲載する場合、新聞であればモノクロ印刷、チラシはCMYKのカラー印刷など、掲載先によって使用できる色の数や色調は異なります。掲載先によって伝わるイメージが大きく変化しないよう、企業ロゴに使用する色数は抑えましょう。

また、企業ロゴはディスプレイに大きく表示したり、名刺に小さく印刷したりする場合があります。サイズ変更をした際に、一目で分かりにくいデザインとならないよう注意してください。

2-5. ストーリー性

ストーリー性のある企業ロゴとは、「企業の理念や特徴をメッセージとして伝えられる」ロゴです。

企業ロゴのストーリー性は、デザインにきちんと意味を持たせることで生まれます。自社の企業理念を策定した上で、企業ロゴで何を伝えたいかを考え、デザインに意味を持たせましょう。

ストーリー性のある企業ロゴは、ユーザーの印象に強く残ります。ユーザーの共感も得やすくなり、認知向上や信頼関係の構築につながるでしょう。

3. ロゴをつくるときに注意すべき3つの点

企業ロゴは、デザインを通してメッセージを伝えることを目的としています。デザインで失敗すると企業の理念がうまく伝わらず、ブランドを傷つける恐れがあるため注意しましょう。

企業ロゴをつくるときの注意点は主に3つです。より良いロゴをつくる上で、作成前に避けるべき3つのポイントを解説します。

3-1. 時流に乗ったデザインを避ける

企業ロゴは長期的に使うため、現在の時流だけを意識したデザインは避けましょう。

企業ロゴをつくる際、現在の流行やトレンドを意識してデザインの方向性を決めるケースがあります。

しかし、現在は広く流行しているデザインであっても、数年後まで流行が続いているとは限りません。ある程度の年数が経過すると時流から取り残されたデザインとなり、ユーザーにマイナスの印象を与える可能性もあります。

年数が経過しても古さを感じさせず、将来にわたってユーザーに愛されるデザインにすることが大切です。

3-2. 他社と似たロゴをつくらない

ロゴの盗用・複製は商標権侵害となり、社会的な信頼を損なうため避けてください。多くの企業ロゴは商標登録がされており、ロゴのデザインは法律によって守られています。

意図的ではないとしても他社と似たロゴをつくることは、ロゴをつくる企業にとってプラスにはなりません。企業の理念や特徴を伝える企業ロゴは、デザインでオリジナリティを感じさせるようにしましょう。

似たデザインの企業ロゴが2つ存在する状況では、自社のユーザーが2つの企業ロゴを見ても、どちらが正しい企業ロゴであるかを判断できません。万が一、企業ロゴから他社の商品・サービスに誘導された場合、ユーザーは企業に対して不信感を抱く可能性があります。

他社のロゴと似たデザインにならないよう、事前調査をしっかり行いましょう。

3-3. 事前にロゴの使い方を想定しておく

事前に企業ロゴの使い方を想定しておくことも大切です。掲載する媒体によってはロゴのサイズを拡大・縮小したり、変形させたりする必要性も生じます。

例えば、ノベルティとしてクリアファイルに企業ロゴを入れる場合、オリジナルのサイズよりも大きいデザインにするケースがあります。また、ノベルティがボールペンの場合は、ボールペンの形状に合わせてロゴを変形させる必要があるでしょう。
企業ロゴの拡大・縮小や変形の度合いが大きすぎると、企業イメージを損なうおそれがあります。ロゴガイドラインを策定し、運用・管理することがおすすめです。

4. 企業ロゴのつくり方|プロジェクト開始から完成まで

企業ロゴをつくる際は、手順も把握しておきましょう。押さえるべきポイントと注意点を理解し、適切な手順でプロジェクトを進めることで、目的に合った企業ロゴをつくれます。

企業ロゴ作成のプロジェクト開始から完成までの流れを、4つのフェーズに分けて解説します。

4-1. 経営層と社員の理念を調査する

最初に、企業ロゴに込めるメッセージを明確化するために、経営層と社員の理念を調査します。

経営層の理念調査では、インタビュー形式で経営者や幹部の声をヒアリングしましょう。経営層のビジネスについての考え方やビジョンを知ることで、企業ロゴで何を実現したいか、どのような方向性にすべきかの判断材料となります。
社員の理念調査では、社内アンケートの実施がおすすめです。企業ブランドに対する意識や、経営方針・働き方についての意見を集めて、社員がどのような考え方を持って働いているかを把握します。社員ならではの企業への想いや業務における信念があれば、メッセージに反映させましょう。

4-2. ロゴのユーザーを設定する

次に、企業ロゴに込めたメッセージをどのようなユーザーに届けたいかを設定します。設定するユーザー像の違いにより、完成する企業ロゴのデザインは大きく異なるため、具体的に設定しましょう。

企業ロゴのユーザー設定は、自社の商品・サービスにおけるユーザー層を基準にします。例えば、自社の商品が成人女性用の化粧品であれば、企業ロゴのユーザー設定も成人女性で設定しましょう。ユーザーの属性は性別に限らず、年代・家族構成・行動パターンなどの傾向もあれば、ユーザー設定に反映させます。

ユーザー設定をつくる際は、マーケティングで用いられるペルソナの活用もおすすめです。具体的な設定を持つペルソナを作成することで、意識すべきユーザー像の把握ができ、プロジェクトチーム内での認識の共有にも役立ちます。

4-3. ロゴのコンセプトを決定する

企業ロゴのコンセプトは、ロゴデザインをどのような形にするかを決定するフェーズです。コンセプトの決め方の例を紹介します。

まずは、設定したユーザー像から連想されるワードを書き出しましょう。例えばユーザー像が成人女性であれば、美・おしゃれ・メイク・家庭・仕事などのようにワードを列挙します。優しさ・温かみ・やわらかさ・楽しさといった雰囲気にかかわるワードを挙げることも大切です。

次に、書き出したワードの中から、企業ロゴのコンセプトにしたいワードを抽出します。抽出する際の判断基準は、自社の理念や事業内容に合っているもの、ロゴデザインとして視覚化しやすいものがおすすめです。

企業ロゴに使用する色の方向性も、コンセプトと同時に決めておきましょう。具体的な色は決められなくても、暖色系がよいか寒色系がよいか、使用を避けたい色は何かを決めておくと、デザイナーへの発注をスムーズに進められます。

4-4. デザイナーにロゴを発注する

ロゴのコンセプトを決定した後は、デザイナーにロゴを発注します。

デザイナーに発注する際は、企業ロゴに込めたいメッセージや想定するユーザー像、ロゴのコンセプトなどをきちんと伝えましょう。プロジェクトの計画を説明し、準備段階で作成した資料や企画書も共有することで、デザイナーはコンセプトに沿ったロゴデザインの提案ができます。

依頼費用や納期、ロゴデザインのデータ形式についても、デザイナー側との話し合いが大切です。

デザイナーからラフデザイン案が出されたなら、プロジェクトチーム内で評価・検討しましょう。ラフデザイン案の中から良いと思ったデザインや、変更したいポイントはデザイナーにフィードバックしてください。

デザインが決まり、デザイナーの作成した企業ロゴが経営層からも承認されれば、企業ロゴは完成です。

5. 企業の理念とブランドストーリーを伝えるロゴの事例

ロゴデザインの参考として、有名企業の企業ロゴ事例を3つ紹介します。

【ミツカン】

ミツカンの企業ロゴは、「三」の下に小さな丸をつけたシンボルマークと、「mizkan」表記のロゴタイプで構成されています。

シンボルマークは、創業家である中埜家の家紋から考案されています。「三」はお酢の命である味・きき(酸っぱさ)・香りを、下の丸は3つの要素を丸くおさめるという意味も込められたマークです。

ロゴタイプはミツカンの「ツ」をtsuではなくzと表記することで、企業名の視認性を向上する工夫がされています。

参考:ミツカングループ「ミツカンのマークの由来を教えてください。ミツカンの名前の由来を教えてください。」

【YAMAHA】

YAMAHAの企業ロゴは、「丸の中心に3本の音叉」があるシンボルマークと、「YAMAHA」のロゴタイプを組み合わせたものです。

シンボルマークである3本の音叉は、技術・製造・販売の協力体制や、メロディー・ハーモニー・リズムを表しています。音叉から広がる丸は、音・音楽を中心として世界に伸びてゆく理念を示すマークです。

参考:ヤマハ株式会社「ロゴの歴史」

【Canon】

Canonの企業ロゴは、「Canon」と表記されたロゴタイプです。

Canonという言葉には、英語で聖典・規範・標準といった意味があり、世界の標準や業界の規範を目指す理念が込められています。「C」の先端が尖り、内側に折れている形状は、1935年に商標登録がされた最初のロゴから受け継がれているデザインです。

Canonの企業ロゴは1956年に細部のデザインが変更され、洗練された印象と視認性のよさを兼ね備えた現在の形となりました。

参考:キヤノングループ「キヤノンロゴ」

まとめ

企業ロゴとは、企業が持つ「理念・文化や社会的な価値」を表したロゴのことです。優れた企業ロゴには、シンプルで、記憶しやすく、普遍的で、汎用性に優れ、企業のイメージを伝えるストーリー性を持つという特徴があります。

ロゴの制作にあたっては、経営層と社員の理念調査から始め、ロゴのユーザーを決めた上で、コンセプトを決めてデザイナーに発注しましょう。また、企業ロゴをつくるときには、流行に合わせず普遍性のあるデザインにする、ロゴを他社と似せない、ロゴガイドラインを定めておくといった点に注意しましょう。

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