事業成長を加速させる「採用ブランディング」
ブランディングを行う意味は?必要性やブランドとは何かも解説
2023年04月20日
企業のあり方を見直したり、知名度を上げたりしたいときは、企業や製品に対してブランディングを行うのが効果的です。しかし、ブランディングには時間や工数がかかるため、意味や目的を把握できていないとなかなか実施が難しい取り組みでもあります。
当記事では、ブランディングの意味とともにブランディングの必要性や種類について解説します。ブランディングを効果的に行うためにも、実施を考えている方はぜひ参考にしてください。
1. ブランディングの意味
「ブランディング」は、世の中に商品(製品)やサービスを提供する企業にとって、事業に関するさまざまな活動をスムーズに進めるために有効なビジネス戦略です。ブランディングに成功すると、市場での優位性や社内外からの信頼・愛着心を高めることができ、売上や利益の向上へとつなげられます。
ここでは、ブランディングの意味について詳しく解説します。「ブランド」と「ブランディング」の意味を正しく理解し、ブランディングに取り組む上での基礎知識を身につけましょう。
1-1. 共通イメージである「ブランド」
「ブランド」とは、同じカテゴリの商品・サービスを区別するための概念であり、他社の商品・サービスとの差別化により消費者の中でつくりあげられる共通のイメージのことです。「ブランド」と聞くと高級品をイメージしてしまいやすいですが、高級ブランド品以外にも「ブランド」という言葉を用います。
自社のブランドが広く認知され、企業やブランドに対する信頼感が高まると、消費者や取引先などから自社の商品・サービスが選ばれやすくなります。社会全体に浸透し、長く愛されるブランドになれば、市場競争力が高まり、経営の安定化にもつながるでしょう。
1-2. ブランド価値を広めていく「ブランディング」
「ブランディング」とは、自社の商品・サービス、企業自体のブランド価値を高め、イメージを定着させていく活動です。自社のブランドが持つ「自社らしさ」という独自の価値・付加価値を他社と差別化することにより、ユーザーからの「共感・ロイヤリティ」を高める活動とも言えるでしょう。
ブランドは、名前・言葉・記号・シンボル・デザインなどの要素により識別されます。しかし「企業側が伝えたいブランドイメージ」と「消費者側が捉えるブランドイメージ」が一致するとは限りません。ブランディングを行う際には、自社が考えるブランド価値とユーザーがイメージするブランド価値が合致するようコミュニケーションを重ねる必要があります。
2. ブランディングには「ブランドアイデンティティ」が重要
ブランディングに取り組む際には、明確な「ブランドアイデンティティ」を持つことが大切です。ブランドアイデンティティとは、「ユーザーにどのようなイメージを持ってほしいか」を具体的に示したものを指します。自社のブランドの特徴を言語化した「旗印」のようなものとイメージするとよいでしょう。
ブランドアイデンティティは、下記の5つの要素から構成されています。
ブランドアイデンティティを構成する要素
(1)ポジショニング…ブランドの目的や対象となるユーザーの明確化
どれほど素晴らしいブランドでも、世の中のすべての人に魅力を感じてもらうのは難しいでしょう。ニーズを満たす消費者に、魅力的なブランドであると思ってもらうことが大切です。(2)パーソナリティ…ブランドが持つ個性
人間的なデザインや職人による手仕事など、他のブランドにはない独自の個性・強みは、ブランドに対する愛着・親近感の源になります。(3)アソシエーション…消費者がブランドを具体的にイメージできるような発信手段
消費者に伝えたいことを発信し、消費者がブランドについて具体的にイメージできるようにする手段を指します。ロゴやデザイン、キャッチコピー、ブランドメッセージなどが該当します。(4)ストーリー…ユーザーが共感できるブランドエピソード
「創業当時の思いやエピソード」「ブランドをつくった経緯」「ブランドにまつわる挫折や奇跡」など、企業やブランドに関連するストーリー要素のことです。ユーザーに共感・親近感を抱きやすくし、企業とユーザーとの関係性を深める効果があります。(5)プロミス…企業やブランドがユーザーに提供を約束する「価値・メリット」
消費者は「その商品・サービスは自分に何をもたらしてくれるか」を重視します。「高品質な商品の提供」「安定したサービスの継続的な提供」など、ブランドが提供できる独自価値やメリットを明確にしましょう。
3. ブランディングを行う意味は認知の拡大
ブランディングを行う最大の目的は、自社ブランドの価値やイメージを確立し、ブランドの認知を拡大することにあります。ブランドに対する消費者の認知が拡大すると、下記のようなメリットがあります。
ブランディングによる認知拡大で得られるメリット
・価格競争の回避
同じカテゴリに同じような商品・サービスがあれば、消費者は価格の安いほうを選択するでしょう。しかし、ブランディング活動によってブランド価値が向上すれば、価格に関係なく「自社の商品・サービスを購入したい」と消費者に思ってもらえます。類似商品・競合サービスとの価格競争に巻き込まれず、安定した経営が可能になるでしょう。・新規顧客の獲得
企業が業績をのばすためには、新規顧客の獲得が重要です。ブランディングを確立させることで多くの人から長く愛されるブランドになれば、自社の商品・サービスに興味を持ってくれる方も増えていきます。興味を持った方の中から、新規顧客も増えるでしょう。・優秀な社員の確保
売り手市場となっている現在の求人市場において、認知度の高い企業は採用活動を有利に進められる傾向があります。ブランディングが確立すれば、ブランドの価値や認知度とともに、企業のブランド力や社会的価値も高まるため、優秀な人材を集めやすくなるでしょう。また、ブランディングに成功すれば、既存の社員(従業員)も自社に対する愛着心や信頼を持つようになります。優秀な人材のモチベーション低下や離職を防止することも可能です。
4. どのようなブランディングを行うとよい?ブランディング種類の選び方
ブランディングの種類は多岐にわたり、ブランディングの目的やイメージを定着させたい相手などによって、適切なブランディング戦略は異なります。ブランディングに取り組む際には、「何を」「誰に」「どのような目的で」ブランディングするかを十分に分析した上で検討しましょう。
ここでは、ブランディングの種類の選び方について紹介します。「商品・サービス・企業」「想定するユーザー」「目的」に合ったブランディング手法を選び、施策を成功に導きましょう。
4-1. 何をブランディングするかを考える
ブランディングを行う際には、「何を対象にブランディングを行うか」という観点に着目しましょう。ブランディングを行う対象は複数あり、よく行われるブランディング戦略には「商品ブランディング」「企業ブランディング」があります。
商品ブランディング
自社の商品やサービスのブランド価値を確立するために行うブランディングです。商品・サービスのストーリーやブランドコンセプトをもとに、商品名やデザイン、宣伝方法などを設計し、競合他社の商品・サービスとの違いを明確化しましょう。
商品ブランディングに成功することで、自社の商品・サービスを選んでもらいやすくなります。市場での優位性を保てるため、競争にも巻き込まれずに済むでしょう。
企業ブランディング
会社としてのイメージやビジネス価値を高めるために行う手法です。顧客や株主といったステークホルダーに対し、共有してもらいたい自社のイメージ・価値観を積極的に発信しましょう。
企業ブランディングを行うことで、競合他社との差別化ができ、優秀な人材の採用や社員のモチベーション向上へとつなげられます。企業のブランド価値が向上すれば、顧客ロイヤリティも高まり、商品やサービスへの愛着心も高まるでしょう。
4-2. 誰にブランディングするかを考える
ブランディングでは、「誰を対象としてブランディングを行うか」という観点も重要なポイントです。ブランディングを行う相手によって、「BtoBブランディング」と「BtoCブランディング」に分けられることを押さえておきましょう。
BtoBブランディング
BtoB企業が別の企業(法人)に対して行うブランド戦略です。相手企業の担当者や株主などのステークホルダーに自社への期待感を持ってもらい、アポイント率の向上を目指す取り組みとも言えるでしょう。
BtoBブランディングを行うと企業価値が向上し、企業の信頼性やイメージが高まれば、競合他社との価格競争に巻き込まれることなく顧客に選んでもらえるようになります。新規ユーザーの獲得や売上の安定化・業績アップにつなげられるでしょう。
BtoCブランディング
BtoC企業が顧客や一般の消費者に対して行うブランディング施策です。ユーザーの購買意欲を高めるために行うブランディングであり、商品ブランディングと共通する部分もあります。ブランディングを行うことにより、商品やサービスのイメージ向上・業績アップにつなげられるでしょう。
4-3. ブランディングの目的を考える
取り組むこととなるブランディングの種類は、ブランディングを行う目的によっても異なります。ブランディングを行う目的をよく考えた上で、適切な戦略を選びましょう。
インナーブランディング
自社の社員に、会社や自社ブランドについてより深く理解してもらうための取り組みです。インナーブランディングにより企業の理念やビジョン、ブランドの価値を会社全体で共有できれば、組織として一貫性を保てるようになるでしょう。
また、組織の方向性が定まるため、社員全員が業務に主体的に取り組めるようになります。社員のモチベーションが高まるとともに、生産性向上・企業イメージアップにつなげられるでしょう。
アウターブランディング
顧客や消費者など社外の人を対象に、企業やブランドをアピールする取り組みです。アウターブランディングでは、企業のビジョンや考え方、商品・サービスのコンセプトを明確化して社外に発信することで、自社のイメージ向上・他社との差別化を図ります。新規顧客やリピーターの獲得にもつながるため、長期的な売上アップも目指せるでしょう。
採用ブランディング
求職者および、求職者を取り巻く家族や友人・指導教員などに向けて行うブランディングです。採用ブランディングでは、求職者向けに自社の企業理念やビジョン、理想の社員像などの情報を発信することで「自社で働くイメージ」の向上を図ります。認知度の向上や応募者の増加が期待できるとともに、入社後のエンゲージメントも高められるでしょう。
まとめ
ブランディングとは、他社と差別化を進めて消費者に共通のイメージを抱いてもらうことです。ブランディングを行えば消費者への認知度を高められる上、価格競争を回避できたりリピーターを確保できたりします。
ブランディングにはいくつか種類があり、「何をブランディングするか」「誰にブランディングするか」など、目的をきちんと確認して進めることが大切です。企業の活動をスムーズに進めるためにも、ブランディングをきちんと行いましょう。
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