パッケージデザインの5つの落とし穴

「パケ買い」という言葉もあるくらい、中身の品質と同等、もしくはそれ以上に「見た目」「パッケージ」の印象で購入が決まることが増えています。

「中身の品質が良い」だけでは売れない今、パッケージデザインに40年以上携わってきたアイディーエイの考える陥りがちなパッケージデザインの5つの落とし穴をお伝えします。
(この落とし穴を避けれたら、売れるパッケージデザインへ近づけるかもしれません。)

商品企画・開発の担当者の方におすすめの記事です。

落とし穴1:自分たちが気に入ったパッケージデザインを採用してしまう

売れるパッケージデザインにするためには、買ってもらいたい相手(ユーザー)に気に入ってもらえるデザインにする必要があります。
パッケージデザインに限らず、商品の中身にも共通して言えることです。

  • ユーザーや市場がどんなものを求めているのか
  • どんな生活スタイルを送っているのか
  • どんなことに興味関心を持っているのか
  • 何が今売れていて、次に流行りそうなものは何なのか
  • 表面化していない隠れたニーズはないか

例えば、「20代の独身女性をユーザーと想定した化粧品」のパッケージデザインをつくる場合、
「若い女性はおしゃれなものが好きそう」「きっと可愛いものが好きだよね」と考え、おしゃれそうなデザインを選んでませんか?
もしくは社員の投票や、社長の鶴の一声で決めてしまっていないでしょうか?
これでは「ユーザー視点」ではなく、「開発側の主観」になってしまっています。

買ってくれる相手のことを、どれだけ具体的に考えたり想像したりできるか(=ユーザー視点になれるか)が重要です。
上層部が気に入ったデザインにしないといけない。空いている工場のラインを使いたい。
という社内事情は「売れる」ことにはつながりませんのでご注意くださいね。

落とし穴2:チームで同じものさしをもっていない

商品を発売するまでには、いくつもの工程があり、たくさんの人が関わります。
関わる方それぞれの価値観、感覚、尺度でパッケージデザインの判断をすると意見がまとまらず、どのデザインに決めれば良いかわからなくなってしまいます。
なので、目標や基準、指標などを取りまとめたシートを作り、最初に全員で共有することをおすすめします。

ただし、関係者内の意見はまとまっても、内容がユーザーの視点と異なっていると意味がないので、「ユーザー視点」で考えなければいけません

  • ユーザーがどんな人たちか。(ペルソナ設定・インサイトの深堀り)
  • 競合商品は何か。(市場・競合比較分析)
  • 目指す成果は何か。(売上、認知度、イメージ改善、社会での役割)

ユーザー視点だけではなく、数値で指標を設定することも大切。

「売れる商品にしたい!」のような漠然とした目標ではなく、「1シーズンで○万個売る!」「昨年対比120%の売上」など、具体的な数値を設定してみましょう。
「たくさん」や「前よりもっと」と言われても、「たくさんってどれくらい?」となりますよね。

数値で表し、共有することで、目指すゴールが明確になります。
また、途中段階でゴールとのギャップを把握しやすくなるため、改善策を考えやすくなります。
関わるメンバー全員が目標達成に向けて、自発的に動きやすくなることもあるでしょう。

「基準」や「ルール」などを明確に記載したものがプロジェクトの「原点」として存在すれば、メンバーが迷うことなく、プロジェクトの成功というゴールに走ることができます。

ぜひメンバーがいつでも立ち帰れる場所・ツールを最初に用意して、プロジェクトに取り組んでみてください。
今までよりもスムーズにプロジェクトが進む確率が上がります。(=成果が出る=売れるデザインになる)

落とし穴3:最適なデザイナー、デザイン会社を選べていない

社内のデザイン部署、デザイン会社、個人デザイナー、広告代理店、印刷会社、、、など、パッケージデザインをする会社や人は世の中にたくさんあります。
ですが得意分野はその人、会社によって違うため、案件に最適なデザイナーを選ぶ必要があります。

  • 考え方(ブランド視点、経営視点など)
  • 得意な領域(食品、化粧品、医薬品、日用品、雑貨など)
  • 得意な方向性(定番的、安心感、斬新さ、インパクト、親近感など)
  • スピード感
  • 価格
  • 体制

案件によって、重要視される項目は変わるかもしれません。
デザイナーを選定するときには、そのデザイン会社の考え方、得意分野、対応面など様々な視点でプロジェクトに合うかどうか吟味してみてくださいね。

※デザイン会社への依頼の仕方や、良いデザインを出してもらう方法など、デザイン会社を有効活用するコツについてはこちらの記事をご覧ください。

「デザインリニューアルを成功させる依頼のコツ」

落とし穴4:計画が不十分

計画や準備を怠ると、目標を達成できなかったり、最悪の場合、プロジェクトが頓挫してしまうことがあります。
逆に、しっかり計画や準備をしてからプロジェクトに取り組むと、共通の認識をもって進行できたり、スムーズにデザインを決めたりすることができます。

例えば、この事例をご覧ください。

メーカーA社では、今期売上目標が達成できておらず、危機意識が高まっていた。
即効性の高い売上げが求められていた。
そこで、売上が低迷している既存商品Bのシリーズ品として、追加商品を加えることに。

生産ラインにも空きがあったので、効率的だと社内の意見も一致し、発売が決定。
他ブランドと兼任になるが、ベテラン社員をリーダーとし、プロジェクトがスタート。
春の商戦に間に合わせるため社員一丸となり、スピード対応可能なデザイン会社と印刷会社の協力も得て、猛スピードで進行!
ベテランのリーダーや各担当者たちの今までの経験値を活かし、調査など所々工程を省き、なんとか予定通りの時期に発売を迎えた。

・・・しかし、思ったように売れない。
急遽、店頭POPを設置するが、効果は乏しく、すぐにPOSでの結果が問われ始める。
そして、商品は棚落ちしてしまう。
在庫商品は、処分せず、ディスカウントに流すことができ、赤字は最小限に留めることができた。

ベテランのリーダーや担当者たちは責任を感じ、他の関わった社員たちにも疲労感だけが残った。
結果が良くなかったことでデザイン会社や印刷会社に対する評価も低く、誰も喜ぶことなくプロジェクトは終了した。

気になる点はありませんでしたか?

1点目は「スピード対応可能なデザイン会社」を選んでいる点です。
本来は「売れるデザインをつくれるデザイン会社」を選ぶべきであり、「スピード対応ができるデザイン会社」を選ぶのは真の目的と異なりますよね。
スピード対応もできて、売れるデザインもつくれる会社ならいいですが、果たしてどうでしょうか・・・。

2点目は「調査など、所々工程を省き」という点です。
もちろん経験を活かすことは重要ですが、それが「省く」ことにつながるかどうかの見極めは難しいですよね。
本来行うはずの調査や工程を省くことで「売れる確率」を下げている可能性があります。
経験を活かして「計画的に取り組む」ことの方がよほど重要で効果的であると考えられます。

3点目は「急遽、店頭POPを設置」した点です。
店頭での商品争いは熾烈なので、POPはパッケージデザインの中でも重要な要素です。
ですが、限られたパッケージの面積の中では伝えきれない商品の魅力をPOPで伝えることができ、手にとってもらえる確率も高くなります。
POPや動画、カードなど活用できるツールは発売前に検討をしておくことで、戦略的に売り出すことが可能になります。
POPなどのツールの企画の有無でバイヤーさんとの商談の反応も変わることが大いにありますので、ぜひ事前に取り組んでおきたいですね。

立ち上げたばかりの企業ならいざ知らず、何年もその業界に身を置いて商品開発や発売をしてきた企業なら、年間の商戦スケジュールは把握済みのはず。
「スピード対応をしなければいけない」「後手後手の対応」になってしまっている状況は好ましくはありませんよね。

発売や商談の時期から逆算して、余裕をもった商品開発、デザイン開発ができるように、計画を立てて取り組めるようにしたいですね。

落とし穴5:プロジェクトを振り返らない

自社で体感した過去の経験、データはとても貴重な財産です。Webサイトでの検索や本から簡単に手に入れられるものではありません。

「反省会」といってしまうとネガティブな印象になってしまいますが、プロジェクトを振り返ることはとても大切です。
振り返ることで、同じ失敗を繰り返さないようにできたり、成功要因をみんなで把握できるので他のプロジェクトも成功しやすくなったりします。

  • バイヤーにプレゼンした時の反応
  • 売れ行き(店頭、ECなど)
  • 広告の打ち方(内容、タイミング、媒体など)
  • プロジェクトの進め方(スケジュールの引き方、試作の回数、社内プレゼンの仕方など)
  • 品質(味、見た目、機能性など)

「なぜその結果になったのか」を考える場を設けてみてください。
明確な答えが出ないこともあります。
それでもプロジェクトの結果や原因を振り返ることで、客観視でき、進行中には気づかなかった落とし穴にも気づきやすくなります。

仮説も考えやすくなりますので、仮説を参考に次のプロジェクトやパッケージデザインに活かすことができます。

パッケージデザインをつくるには、情報収集と整理が必要です。

情報がなくてもパッケージデザインをつくることはできますが、「売れるパッケージデザイン」にする確率を上げるためには、正しく情報を整理し、パッケージデザインをつくることが大切です。

もし今までの結果や振り返りを活かせていないのであれば、ぜひ、今取り組んでいるプロジェクトからでも「他のプロジェクトにこの経験を活かす!」という意識をもって取り組んでみてください。
得た経験や情報をぜひ他の人にも共有してみてください。
それだけで、あなたの次のプロジェクト、他の人が進めているプロジェクトを成功させる可能性が高くなるかもしれません。

まとめ

「パッケージデザインの5つの落とし穴」をお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
うっかりはまってしまっている落とし穴はありませんでしたか?

本来「デザイン」には「計画」や「設計」という意味があるように、パッケージデザインも単に見た目が良いものをつくるだけでは「良いパッケージデザイン」とは言えません。
ユーザー視点、様々な情報、会社や担当者の想い・・・
いろいろなものを凝縮して魅力的に表現したものが売れるパッケージデザインになります。

自分たちが落とし穴にはまっていないか、見つめ直してからパッケージデザインに改めて取り組んでみてはいかがでしょうか。

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Writer

AYA MATSUDA

岡山本社 アカウントプランナー。 中小企業をメインに業界を問わずデザインやブランディングを提供している。 昨今ではSNSの運用やWeb解析などデジタル戦略で企業のブランドをサポートしている。

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