レッドオーシャンとは?勝ち抜くための戦略や成功例も

レッドオーシャンとは、既に多くの企業が参入しており、新規参入企業も多く、価格競争が激しい市場・分野を表す言葉です。一般的に、競争の激しいレッドオーシャンは新規参入が難しい分野と考えられる傾向ですが、参入にはデメリットだけでなくメリットも存在します。

この記事では、レッドオーシャンについての基本情報に加え、メリット・デメリット・成功例・勝ち抜くための戦略について詳しく解説します。ブルーオーシャンやブラックオーシャンなどの関連用語にも触れるので、ぜひ参考にしてください。

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1. 「レッドオーシャン」は競合が多く価格競争の激しい市場

レッドオーシャンとは、「競争相手が多い市場・分野」という意味の言葉です。レッドオーシャンには既に多くの企業が参入しており、新規参入企業も多く、価格競争が激しい点が特徴となっています。

「レッド」が持つ意味合いには諸説ありますが、市場が真っ赤に加熱しているイメージや、激しい血(利益)の流し合いのイメージから来ていると言われています。

1-1. 対極にあるブルーオーシャン

ブルーオーシャンとは「競争相手がいない未開拓の市場・分野」を指す言葉です。競合がほとんどおらず、晴天の海のように希望が広がっていることからブルーオーシャンと呼ばれるようになったと言われています。

ブルーオーシャンとレッドオーシャンは対極の存在ですが、まったく別の市場を指しているわけではありません。すべてのレッドオーシャン市場は、ブルーオーシャンから始まっています。

今はブルーオーシャン市場でも、競合の参入や競争の激化によってレッドオーシャン化する可能性があることを忘れてはなりません。

1-2. 参入障壁の高いブラックオーシャン

ブラックオーシャンは、レッドオーシャンやブルーオーシャンから派生した用語です。参入障壁が高く、競合相手が存在しないオンリーワンの市場を指しています。

ブラックオーシャンの市場では高い利益が望めますが、ブラックオーシャン自体がめったに存在せず、市場参入が難しいというデメリットがあります。ブラックオーシャンは、圧倒的に優位な技術力を持つ企業のみが存在できる市場か、顧客層がごく限定的な市場と言えるでしょう。

2. レッドオーシャンのメリット

競争が激しいレッドオーシャンには過酷なイメージがありますが、参入にメリットが皆無というわけではありません。レッドオーシャンにはさまざまなメリットがあるため、参入を目指す企業が常に存在しています。

レッドオーシャンに参入する場合の主なメリットは以下の3つです。

・既に認知されており需要のある商品が多い

・成功すれば高い収益を得られる

・商品開発のコストを抑えられる

ここからは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

2-1. 既に認知されており需要があり需要のある商品が多い

レッドオーシャンは価格競争が起こりやすく、競合と利益を削り合う戦いになりやすいため、企業にとってうまみが少ないと思う方もいるでしょう。しかしレッドオーシャンは、既に消費者の間で広く認知されており、高い需要があることが分かっている市場です。

ブルーオーシャンで商品を売る場合、まず商品の存在や価値を世に広め、認知してもらう必要があります。商品自体はよいものでも、消費者に認知と理解を広げられなかったために消えていった商品も数多くあります。

一方、レッドオーシャンで売るのは、消費者に商品の存在や価値が十分に浸透している商品が多い傾向です。世に知られていない商品を売るのは難しいですが、広く認知された商品は売れやすいと言えます。

レッドオーシャンは需要が顕在化しているため、消費者に求められている商品を作りやすいという見方もできます。需要を反映した商品を作り、競合から少しでもシェアを奪えるような販売戦略を行うとよいでしょう。

2-2. 成功すれば高い収益を得られる

レッドオーシャンは、高い需要があるからこそ多くの企業が激しく競争し、顧客や利益を奪い合っています。参入に成功すれば、シェアは少なくても一定の利益を確保できる見込みがある点が、レッドオーシャンの大きなメリットです。

レッドオーシャンはトップシェアではなくても利益を上げやすい市場のため、あえてレッドオーシャンに挑む企業も数多くいます。参入に成功し、競合から多くのシェアを奪えれば、売上を大幅に伸ばせる可能性が秘められています。

2-3. 商品開発のコストを抑えられる

ブルーオーシャン市場で戦う場合、今までになかった商品やサービスを自分たちの手で作り出さなければなりません。新しい商品やサービスを作り出すためには、失敗や試行錯誤を繰り返す必要があるため、膨大な時間やコストがかかります。

しかし、レッドオーシャンで需要がある商品は明らかです。市場に既にある商品をベースに開発を進められるため、コストを抑えられる点が大きなメリットです。

3. レッドオーシャンのデメリット

レッドオーシャンにはさまざまなメリットがありますが、参入を検討する際にはデメリットも十分に理解しておく必要があります。

ここからはレッドオーシャン市場に参入する際の代表的なデメリットを2つ紹介するため、企業経営者やマーケティング担当者などはぜひ参考にしてください。

3-1. 参入後に勝ち残ることが難しい

レッドオーシャン市場は、例え参入を果たしても、数多の競合の中で勝ち残ることが難しい点が最大のデメリットです。

レッドオーシャンには既に多数の競合がおり、長い年月を経て企業同士の序列や順位がある程度決まっているケースもあります。レッドオーシャンに参入する際には既存の企業に敵対視されやすい点もリスクの1つです。

レッドオーシャンは価格競争に発展しやすく、薄利多売になりやすい市場でもあり、元々ネームバリューがあり資金豊富な企業に有利な環境です。ライバルとなる企業も多いため、競合に負けて撤退せざるを得なくなるリスクがあることを知っておく必要があるでしょう。

3-2. 市場調査や広告に多大なコストがかかる

レッドオーシャン市場で生き残るためには、競合との差別化を図るため、大規模な広告戦略の実行や、外部の専門家によるコンサルティングなどが必要になります。

レッドオーシャンで勝ち残るためには市場調査や広告に多大なコストがかかるため、資金に余力があまりない企業は特に注意が必要です。

4. レッドオーシャンで勝ち抜くための戦略

レッドオーシャンでの成功は不可能ではありません。しかし、実際にレッドオーシャンに参入して勝ち抜くためには、綿密な戦略を練る必要があります。

ここからは、レッドオーシャンで勝ち抜くための戦略を5つ紹介します。それぞれの戦略に取り組めば、自社をレッドオーシャンで戦える企業に成長させることにつながるでしょう。

4-1. 市場を厳選しブルーオーシャンを見出す

レッドオーシャンに飛び込む前に、市場を絞り込むことが大切です。市場を厳選することで、どのようなユーザーに向けた施策が必要かを明確化しやすくなり、有効な戦略策定につながります。

レッドオーシャンの中にも、実際には需要と供給があまり嚙み合っていない顧客が潜んでいます。ニーズが満たされていない顧客の存在は、レッドオーシャンにおけるブルーオーシャンとも言えるでしょう。レッドオーシャンにおけるブルーオーシャンを市場開拓できれば、競争市場の中でも一定のシェアを獲得できる可能性が高くなります。

4-2. 市場調査を詳細に行う

レッドオーシャンにおいて、成功しているライバル企業の調査・分析を行うことは、基本的ながら有効な戦略の1つです。競争が激しいレッドオーシャンにおいて、ライバル企業がどのような戦略を行って成功しているかを知ることは、自社の戦略を決める上で役に立ちます。

市場調査にはさまざまな種類があり、代表的な手法は以下の4つです。

販促調査:どのようなプロモーションを行えば販売量を増やせるのかを顧客に問う調査です。

価格調査:自社の商品について、顧客が妥当だと思う金額を調査します。

商品開発調査:ユーザーのニーズを調査し、商品開発に役立てます。

ブランドイメージ・満足度調査:自社の商品と競合の商品の認知度を知るための調査です。自社の商品が競合の商品と比べて顧客に知られていなければ、プロモーションに力を入れる必要があります。

4-3. 分野を掛け合わせる

アイデアとは、「既存の要素の新しい要素との組み合わせ」とも言われています。何もないところからアイデアを生み出そうとするよりも、既存の事業同士を組み合わせることで、上質なアイデアが生まれやすくなるでしょう。

分野を掛け合わせる最大のメリットは、特別な発想力をあまり必要としない点です。分野の組み合わせを考えるセンスとテクニックさえ磨けば、多くの人が新しいアイデアを生み出すことが可能になります。

既存の分野をベースにしているため、立ち上げた後の展望をある程度予測できる点もメリットの1つです。

4-4. 競合との差別化を図る

レッドオーシャン市場で勝ち抜くためには、顧客の興味を引き付けるための「差別化戦略」が重要になります。

差別化戦略の最大の目的は、自社の商品の優位性を顧客にアピールすることです。自社の商品を利用することで、ほかの商品にはない価値やメリットを得られることを、顧客にしっかりと伝える必要があります。

差別化戦略では、以下のポイントで差別化が可能かを考えるとよいでしょう。

差別化戦略で重視するポイント

・商品(製品、サービス)

・顧客サービス

・流通経路

・ブランド

差別化戦略では、差別化ポイントを明確にできる「STP分析」などのフレームワークを活用するのがおすすめです。

4-5. ブランド力を高める

レッドオーシャン市場では、「ブランド力」を高める戦略も有効な手段となります。

ブランド力とは、自社ブランドが持つ価値のことです。商品の品質などに対する価値というよりも、「顧客の中にある商品のイメージ」を指しています。顧客が自社の商品に対して「ほかの企業の商品とは違う」と感じたとき、自社の商品のブランド力は高い状態だと言えるでしょう。

ブランド力を高めれば、他社の商品との違いや価値を顧客に示すことができ、顧客離れが発生しにくくなります。ブランド力の向上には時間がかかるため、外部の専門家にコンサルティングを依頼するなどの手段を講じるのがおすすめです。

5. レッドオーシャンにおける成功例4選

レッドオーシャンにおける自社の成功をイメージするのが難しい方もいるでしょう。レッドオーシャン戦略を考える際には、過去にレッドオーシャンで成功した企業の事例を参考にするのがおすすめです。

ここからは、レッドオーシャンにおける成功例を4つ、具体的に紹介します。

5-1. スナック菓子(ポテトチップス)市場

食品会社の湖池屋は、スナック菓子の一種であるポテトチップスの市場に参入して成功を収めました。

ポテトチップスには塩分が多いイメージがあり、塩分摂取を控えている方にとっては手を出しづらいスナック菓子です。そこで、湖池屋はあえて「塩を使わない」ポテトチップスを開発・販売しました。塩を使わないポテトチップスは、健康志向の中高年や素材の味を楽しみたい女性の間でヒットし、成功を収めました。

湖池屋の成功は、ポテトチップスのネックである塩分摂取のリスクを解消し、レッドオーシャンの中にブルーオーシャンを作り出した事例と言えるでしょう。

5-2. チューハイ・サワー市場

コーラで有名なコカ・コーラは、チューハイ・サワー市場に参入後、わずか1年程度で一定の地位を築いたことで話題になりました。

コカ・コーラがチューハイ・サワー市場で成功を収めたのは、九州限定販売から始まった「檸檬堂」です。檸檬堂では幅広い種類のレモンサワーが販売されています。種類によって味や果汁の割合、アルコール度数などが異なるため、幅広い層のニーズを満たせるシリーズです。

コカ・コーラが檸檬堂で成功した要因は、レモンサワーの開発に、これまで培ってきた清涼飲料水を製造する際の専門知見を生かしたからだと言われています。レッドオーシャンに参入する際には、自社が培ってきた専門的な知見やスキルを生かせる商品がないかを考えるとよいでしょう。

5-3. ボールペン市場

ボールペン市場は価格競争の激しいレッドオーシャンでしたが、パイロットは「フリクションボールペン」を開発・販売しブルーオーシャンへと抜け出しました。

書いた後にインクを消せるフリクションボールペンは、「ボールペンで書いた文字は修正液でないと消せない」という従来の常識を打ち破った商品です。パイロットは、熱を加えると透明になる特殊なインクの開発に成功し、隠れた顧客ニーズを満たすことで成功を収めました。

ボールペン市場におけるパイロットの成功は、市場でよく売られている商品をより便利に改良したことでヒットした事例と言えるでしょう。

5-4. 高級食パン市場

高級食パン市場は一時期競争が過熱した分野です。高級食パン市場には大手企業から小規模な専門店までさまざまな企業が参入し、2020年時点では市場規模は255億円にものぼると言われていました。

その中で、モスバーガーを展開するモスフードサービスは、「完全予約制」という独自のスタイルを携えて高級食パン市場に参入しました。予約を受けた分だけ発注・販売するため廃棄ロスを大幅に削減でき、例え販売数が少なくても、売れた分だけ利益になる仕組みを確立したことで注目されました。

まとめ

レッドオーシャンは競合が多く参入しづらいイメージのある市場です。一方で、既に認知されている需要の高い商品を、低コストで開発し展開できるため新規参入でも収益を得やすいという側面があります。ただし、勝ち残ることは容易ではなく、市場調査や広告に多大なコストがかかるという点には注意が必要です。

レッドオーシャンで勝機を見出すには、市場を厳選しブルーオーシャンとなりうる領域を探すことが重要です。また分野の掛け合わせや競合との差別化で、独自の地位を確立することが求められます。

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