ブランド価値とは?定義・構成要素や価値向上のポイントを解説

経済のグローバル化が進み、国内にとどまらず世界中の商品やサービスが競合先となりうる現代において、商品の売上を左右するものが「ブランド価値」です。ブランド価値が高ければ、競合他社と比べて消費者は商品を選択しやすくなり、継続的に商品が売れやすくなるでしょう。ただし、顧客を見ずに短期的に一方的な宣伝を行っても、ブランド価値は向上できません。ブランド価値向上には、継続的なブランディングが必要です。

この記事ではブランド価値とは何か、定義や3つの構成要素、およびブランド価値向上につながるブランディングのポイントについて解説します。

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1. 「ブランド価値」の定義は消費者が感じる商品の価値

ブランド価値とは、消費者が商品に感じる魅力や満足度のことです。ブランドの認知度や評判、所有によって得られる優越感などによってブランド価値は形成されます。

消費者はブランド価値によって商品を比較し、購入する商品を選びます。有名なブランドのほうが信頼できる、見栄えがよいブランドを選びたい、という心理が働くため、ブランド価値の高い商品は選ばれやすくなり、競争で優位に立てるでしょう。

ブランド価値は、消費者の決定に影響を与える重要な要素です。顧客を獲得するには、商品の品質にくわえて、ブランド価値向上を目指す施策が欠かせません。

1-1. ブランディングはブランド価値を高める目的で行われる

ブランド価値向上のカギとなるのがブランディングです。ブランディングとは、消費者に向けて商品の価値や商品に抱いてもらいたいイメージを浸透させ、ブランド価値をつくることです。

消費者は商品の品質やデザイン性、経営理念を通して、さまざまなイメージを抱きます。ブランディングで企業がアピールしたい特長やコンセプトを際立たせれば、消費者はブランドを見たときに特長を思い浮かべやすくなります。ブランディングに成功すれば、顧客はブランドに魅力を感じやすくなり、ブランドの認知度も高まるでしょう。

ブランド名を聞いただけで、企業がアピールしたい特長を思い浮かべてもらえるなら、ブランディング成功と言えます。他社との違いが明確になり、ほかの商品では得られない価値がある商品を提供するブランドとして、ブランド価値が高まります。

2. ブランド価値の3つの構成要素

ブランド価値は3つのベネフィット、すなわち得られる便益で構成されています。3つのベネフィットを意識してブランディングを行うなら、消費者にブランド価値が伝わりやすくなるでしょう。

以下では3つのベネフィットについて解説します。

2-1. 機能・品質面の優位となる機能的ベネフィット

商品の特徴や機能そのものから得られる便益を機能的ベネフィットと言います。選ぶメリットとも言い換えられ、簡単にできる、便利、軽い、壊れにくいなど、消費者にとってプラスとなる効果のことです。

例えば、24時間営業しているスーパーの夜中でも買い物ができる点や、軽量なコンパクトカメラの携帯性に優れている点は、機能的ベネフィットと言えるでしょう。既存市場での機能的ベネフィットは出尽くしているケースが多く、独自性を築くのが難しい傾向にあります。しかし成長途中の市場では、競合他社と差を付けられる重要な要素です。ほかでは見かけられない新たな機能性を身につけるなら、ブランド価値は大いに高まります。

2-2. 商品やサービスの体験価値となる情緒的ベネフィット

情緒的ベネフィットは、商品・サービスの利用を通して得られるプラスの感情です。例えば、商品・サービスを使うことで感じられる、嬉しい、楽しい、美味しい、安心するといった気持ちは情緒的ベネフィットです。

軽量なコンパクトカメラの例で考えると、持ち歩いても疲れないため、快適さという情緒的ベネフィットが得られるでしょう。ほかにも市販の風邪薬に対する信頼感や、炭酸飲料を飲んだ後の爽快感、ボリュームがある料理への満足感なども情緒的ベネフィットに挙げられます。

類似商品や定番のサービスが多い中で、購入・利用後に得られる感情に価値を見出す消費者は少なくありません。現代では製品を買って所持する「モノ消費」から、サービスを利用する「コト消費」の価値観が広まりつつあります。ブランドから得られる体験が重視される現代では、情緒的ベネフィットを伝える重要性が増してきています。

2-3. 顧客の自己実現につながる自己表現ベネフィット

自己表現ベネフィットとは、商品やサービスの利用によって可能になる自己表現のことです。きれいになりたい、一目を置かれたい、信頼感を得たいなどの、消費者の自己実現への欲求を満たす商品は、自己表現ベネフィットを満たすブランドです。

自己表現ベネフィットは、服やアクセサリー、ファッションアイテム、化粧品などで得られることが多くあります。例えば、ビジネスマンが、高価な衣服や腕時計などを身に着ける場合、「自分を信頼感ある人間に見せたい」という自己表現ベネフィットが満たされていると言えます。
SNSが発達した現代において、自己表現ベネフィットは重要です。人に自分を見せたい欲求や、有名人のようになりたいという欲求が刺激されやすいため、自己表現ベネフィットを満たせる商品のブランド価値は高めやすくなります。

3. ブランド価値を向上させるためのポイント3つ

ブランド価値を向上させるには、自社の顧客に3つのベネフィットを分かりやすく伝え、商品やサービスに付加価値をつける必要があります。アピールする際は、以下の3つのポイントを押さえてブランディング活動を行っていくことが大切です。

3-1. 顧客のニーズを調査する

自社の顧客に合わせたベネフィットを付与するために、顧客のニーズを把握しましょう。ユーザー層が関心のないベネフィットをアピールしても、価値を感じてもらえません。何を求めているのか、何に利便性を感じるのかリサーチが必要です。

ニーズ調査では、「何が欲しいのか(ウォンツ/Wants)」と「何が必要なのか(ニーズ/Needs)」を混同せず、後者を引き出す質問づくりが重要です。例えば、「ドリルが欲しい」というウォンツは、「壁に穴を開けたい」というニーズ、さらには「壁にボードを付けたい」というニーズにつながります。「ドリルが欲しい」で満足せず、「壁にボードを付けたい」まで深掘りできれば、顧客のニーズを埋める商品がつくれるでしょう。

ただし、主要なユーザーと異なる層に向けて調査しても、ニーズを捉えることは困難です。そのため、まず主要なユーザーを絞り込む大規模なアンケート調査を行ってから、さらにインタビューなどで顧客の意見を深掘りしていくのが大切です。

3-2. ブランドストーリーをつくる

ブランドの魅力や強み、こだわり、歴史などの紹介コンテンツをブランドストーリーと言います。ブランドストーリーは、顧客の興味や共感を呼び起こし、ブランドに注目してもらうのに効果的です。

多くの商品の中から特定のモノを選ぶ基準として、価格よりも自身の価値観やライフスタイルに合っていることを重視する人が増えています。ブランドストーリーで共感を得られるなら、商品・サービスへ誘導するきっかけとなるでしょう。

特に機能的ベネフィットでの差別化が難しい場合、ブランドストーリーで他社との違いをアピールし、ブランド価値を高められます。また、SNSの普及により作成したコンテンツの拡散が容易に行えるため、現代の傾向に合わせたブランディング活動と言えるでしょう。

3-3. 既存のブランドを活用する

ブランディングには既存ブランドを活用する方法もあります。代表的な3つの戦略は以下の通りです。

・マルチブランド戦略

マルチブランド戦略とは、同一カテゴリーの中で複数のブランド展開を行うことです。例えば、自動車メーカーなら高級車・大衆車・重機など、製造ラインごとに複数のブランドをつくれます。幅広い層を顧客にでき、複数のブランドによってリスクヘッジできるのがメリットです。

・ブランドエクステンション

飲食店のブランドが、同じブランド名でカフェを始めるなど、既存のブランド名を使い、新しいカテゴリーでブランド拡張することをブランドエクステンションと言います。すでに認知度のあるブランド名で新カテゴリーに参入するため、ブランディングしやすいでしょう。

・ラグジュアリーブランド

富裕層に向けた高品質・高価な商品を出すのが、ラグジュアリーブランド戦略です。ブランド価値を極限まで高め、ブランドイメージを徹底的に守って差別化を図ります。ニーズに応えて顧客を増やすのではなく、あえて市場を絞ってコアなファンを維持することで、安定的に売れ続ける商品をつくるのが特徴です。

ブランド力向上を実現するには、自社商品の既存のブランドイメージや、自社の経営理念、獲得を目指す顧客層に合ったブランディング戦略を立てるのが重要です。

まとめ

ブランド価値とは、消費者が商品に感じる魅力や満足度のことです。ブランド価値には、品質面での優位である機能的ベネフィット、感情面の優位である情緒的ベネフィット、自己実現への欲求を満たす自己表現ベネフィットの3つがあります。特にSNSが発達し、モノ消費からコト消費へと消費のかたちが変わっている現代において、情緒的ベネフィットや自己表現ベネフィットの重要性は増しています。

ブランド価値をつくり、向上していくには、ブランディングが必要です。ブランディングには、顧客のニーズを深掘りした上で、ニーズに合ったブランドストーリーをつくるなどの手法があります。自社商品の既存のブランドイメージや、自社の経営理念、獲得を目指す顧客層に合ったブランディング戦略を立てましょう。

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