目的達成できる!企業価値がアップするノベルティのポイント
ブランドストーリーの重要性|ストーリーのつくり方やポイントを解説
2023年11月10日
企業がブランディングを行う際には、「ブランドストーリー」が欠かせません。ブランドストーリーは自社のブランド価値を伝えられるコンテンツであり、ブランドマーケティングの中心的役割をも果たします。
ブランドストーリーという言葉は聞いたことがあっても、重要性やつくり方、さらに実施に向けたポイントまで具体的に把握している方は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、ブランドストーリーの概要から必要なブランドの価値基準、さらに作成方法やポイントまで詳しく説明します。ブランドストーリーをつくって、自社の知名度や価値を高めたいという経営者の方はぜひ参考にしてください。
1. 価値観を共有するためのブランドストーリー
ブランドストーリーとは、自社のブランド価値を伝えるためのコンテンツであり、具体的にはブランドコンセプトや価値観を共有するためのストーリーのことです。
ブランドストーリーでは、企業のブランドが誕生した歴史や思想などを強み・魅力とし、物語として訴求することが一般的となっています。
人々は、物事や出来事を点ではなく無意識に線で理解しています。ブランドストーリーによって消費者は商品という点だけではなく、企業がどのような思いをもって商品を製造・販売しているのかという線も理解でき、商品への興味や購入意欲がさらに高まるでしょう。
3C分析で自社を取り巻く市場環境を調査すれば、より訴求力の高いマーケティング施策に活用できるほか、事業計画の方向性を決定する際にも役立ちます。
1-1. そもそもブランドとは?
ブランドストーリーをより深く理解するためには、そもそも「ブランド」や「ブランディング」が何かを理解しておく必要があります。
ブランドとは、ユーザーが高い対価を支払ってでも得たいと感じる独自の価値のことです。例えば、価値あるブランドの場合、市場平均が1,000円の商品を1,500円で販売しても、ブランド価値を感じるユーザーから多く購入されるでしょう。500円の差額はブランド価値とも呼ばれ、競合他社との価格競争から脱却するためには最も重要なポイントとなります。
ブランディングとは、企業が自社そのものや自社製品のブランドを構築するために実施する取り組みのことです。自社ブランドを確立させ、競合にはない独自の付加価値を創造し、自社とユーザー間で共通イメージをもってもらうための戦略となります。ブランドストーリーは、ブランディングの一環でもあります。
ブランド価値を高めてブランディングに成功すると、ユーザーから特定のイメージが認知されることによって商品の選択候補に挙げられる回数も増加します。そのため、集客・販促・PR活動などにおいては特に大きなメリットを生み出します。
2. ブランドストーリーに必要なブランドの価値基準
ブランドストーリー戦略を立てる上でも重要となるブランド価値は、大きく下記の4つに分けられます。
- 機能的価値
- 情緒的価値
- 自己表現的価値
- 社会的価値
それぞれのブランド価値において、基準は大きく異なります。ブランドの価値基準とは、消費者たちが商品を見てから何を感じて購入を決定するかを分析したものであり、ブランドストーリーによっても印象が変わることも特徴です。
ここからは、4つのブランド価値における基準を詳しく紹介します。
2-1. 商品・サービスそのものの機能的価値
機能的価値とは、商品・サービスそのものが有する基本的な機能の価値のことです。例えば、オフィスチェアであれば「座り心地の良さ・腰への負担の少なさ」、インスタント食品であれば「おいしさ・簡単さ」が機能的価値にあたります。
ブランド価値を高めるためには欠かせない要素ではあるものの、多種多様な商品・サービスが市場に流通している近年、機能的価値だけで差別化を図ることは困難と言っても過言ではありません。機能的価値はもちろん、その他のブランド価値を高めることが大切です。
2-2. 感覚を想起させる情緒的価値
情緒的価値とは、商品・サービスから想起するイメージや感覚に対する価値のことです。
機能的価値に大きな違いのない別ブランドの商品が2つあった場合、信頼のできるブランドや好きなブランドの商品を購入するケースがほとんどでしょう。このように情緒的価値が高ければ、ユーザーから選んでもらえる可能性も大きく高まります。
情緒的価値は、独自のブランドアイデンティティやブランドストーリーをはじめとしたあらゆる要素によって構成されるものであり、いかに人々の感情を揺さぶる価値を見出せるかが重要となります。
2-3. 自らのイメージを表す自己表現的価値
自己表現的価値とは、ユーザーがブランドを所有することで自身の価値観やスタイルを表現できる価値のことです。
例えば、ハイジュエリーブランドを身につけている方は周囲から「成功している人・資金力のある人」といった印象を抱かれます。こうした自己イメージを実現するため、さらに自身の価値観を高めるために、自己表現的価値の高いブランドの商品を所有する方も少なくありません。
ブランドが多くのユーザーに自己表現的価値を提供できるようになれば、ブランドとユーザーの絆はより強まり、ブランドのさらなる成長にもつながるでしょう。
2-4. 社会全体に与える社会的価値
社会的価値とは、ユーザーがブランドを所有することで社会的集団やコミュニティに参加できるようになる価値のことです。
例えば、あるファッションブランドの衣服を着用する方が「トレンドのファッションを楽しんでいる人」と受け入れられた場合、そのファッションブランドは社会的価値を有していると言えます。社会的価値の高いブランドの商品を購入したユーザーたちは、アイデンティティや所属意識をもつことが可能です。
3. ブランドストーリーが重要な理由
ブランドストーリーは、作成するだけでなく浸透させることによってさまざまなメリットが得られます。数々のメリットを理解すれば、自ずとブランドストーリーが重要な理由も把握できるでしょう。
そこで次に、ブランドストーリーが重要な理由を3つ紹介します。
3-1. 商品・サービスの認知度が向上するため
ブランドにとって認知度の高さは重要となるため、認知拡大に向けて莫大な予算を投下し広告・プロモーション活動を実施する企業も多くいます。しかし、こうした方法による売り上げの拡大は一過性のものにすぎず、広告コミュニケーションによっては誤ったブランドイメージを植え付けてしまう可能性もあります。
作成したブランドストーリーを浸透させることによって、本来のブランドイメージを正しく伝えられ、商品・サービスの認知度も向上します。商品・サービスの認知度が高ければ高いほど信頼度も高まり、ユーザーは安心して購買行動を行えるようになるでしょう。事業活動する上で欠かせません。市場調査やアンケート調査など、適切な調査方法で情報収集し分析しましょう。
3-2. 競合との差別化になるため
成熟期を迎えた市場においては、あらゆる企業から高品質な商品・サービスが提供されており、機能的価値に大きな差がなくなりつつあります。機能的価値以外の価値基準を高めて競合ブランドとの差別化を図るためには、ブランドアイデンティティの確立・ロイヤルティ向上に向けたブランドストーリーの浸透が不可欠です。
また、近年のユーザー動向においては、商品・サービスの機能性だけでなく、購買後の心の豊かさも重視してブランドを選ぶ傾向にあります。時代とともに変化する消費行動に応じたブランディング手法としても、ブランドストーリーの作成・浸透は重要と言えるでしょう。
3-3. SNSが普及したため
スマホが普及し始めた2010年代以降、インターネット技術は急速に発展し、幅広い年齢層のユーザーがSNSを利用するようになりました。SNSの普及によって、ユーザー個人の体験や意見を気軽に発信できるようになり、商品・サービスのPRにおいては従来の「企業主体の発信」に加えて「ユーザー主体の発信」の説得力も高まっています。
また、SNSには拡散機能やいいね機能が備わっており、「企業からユーザーへ」だけでなく「ユーザーからユーザーへ」の発信も容易です。SNSを通してブランドストーリーを活用したコンテンツを投稿することで、ユーザーの共感も集めやすく、結果としてブランドも構築しやすくなるでしょう。
4. ブランドストーリーのつくり方
ブランドストーリーは、商品・サービスの認知度向上、競合との差別化において良い効果をもたらします。
また、ブランドストーリーはブランディング・マーケティング活動の一環であり、中心的な役割を果たします。そのため、価値観や使命を反映させ、かつユーザーが共感できるブランドストーリーづくりが大切です。ユーザーに長く愛されるブランドを構築するためにも、ブランドストーリーの内容は十分に考え、慎重に作成しましょう。
ここからは、ブランドストーリーのつくり方を順番に説明します。
4-1. ブランドストーリーを伝えるユーザー像を決める
メッセージ性の高いブランドストーリーは、 ユーザーとなる読み手の軸がブレていると共感度に欠けてしまうおそれがあります。自社や自社商品・サービスの価値がいかに素晴らしいかを伝えるためには、あらかじめ「誰に伝えるか」といったユーザー像を明確に定めることが大切です。
基本的に、ユーザーが関心をもつ対象は「自分自身に関わるもの」となります。すべての物語に主人公が存在し、読み手は主人公に共感しながら読み進めていくように、ブランドストーリーも自分自身に置き換えてイメージできるかどうかが重要と言えるでしょう。
ユーザーの決定方法には、大きく「STP分析」と「ペルソナ」の2種類があります。顧客が多様化する近年では、代表する架空ユーザー像を細かく設定するペルソナが一般的となっています
4-2. 自社のミッションやバリューを考える
ユーザー像の設定が完了した後は、自社のブランドミッションやバリューを考えます。ブランドミッションとは企業の存在意義や目標を示すものであり、バリューはブランドミッションの実現に向けた具体的な行動指標のことです。
ブランドミッションの作成時は、まずブランドアイデンティティを確立する必要があります。アイデンティティを明確にした後は、決定したユーザー像に該当する方に提供する価値、いわゆる商品・サービスが購入者にもたらすメリットを定義付けましょう。
決定したブランドミッションにもとづき、具体的な行動指標(バリュー)を考えます。どうすればミッションを達成できるのかといったテーマでディスカッションを行い、多くても5個程度のバリューをまとめましょう。
4-3. ブランドストーリーを伝える物語をつくる
ペルソナとブランドミッション・バリューを明確にしたら、いよいよブランドストーリーを構成します。
ブランドストーリーをしっかりと伝えられる物語をつくるときは、長文よりも比較的シンプルな短文がおすすめです。初見のブランドのストーリーをじっくり読み込む方は少なく、長文であればあるほど読む意欲は低まってしまいます。
当事者性や客観性はもちろん、「なぜ・どのように」といった情報も含めつつ、短時間でも直感的にユーザーの心へ訴えかけられるストーリーを作成しましょう。
4-4. コピーやロゴをつくる
作成したブランドストーリーを多くのユーザーに浸透させるためには、ブランドのシンボルとなる独自のコピーやロゴも重要です。特にロゴは重要であり、ブランド価値・ロゴの認知度が向上した場合、商品にロゴデザインが刻まれているだけで情緒的価値や自己表現的価値も大きく高まります。
コピーやロゴの作成時は、設定したペルソナ・作成したブランドストーリーに沿っているかどうかがポイントです。企業らしさを反映させられているか、競合と類似していないかもチェックしながら、ブランドの顔として魅力的なコピーやロゴを作成しましょう。
4-5. ブランドストーリーを発信し続ける
ブランドストーリーは、大作の物語である必要はありません。企業によっては、SNSやチラシ、店内POP広告で少しずつストーリーを伝えるという手段もとっています。ブランドストーリーの浸透に大切なのは、「絶えず発信し続けること」です。
また、ブランドストーリーは自社サイトのほかSNS、イベントなど複数の媒体・チャネルで展開し続けることをおすすめします。マルチチャネルでブランドストーリーを届けることで、より多様な性質をもった顧客との接点増加につながるため、新規顧客のさらなる獲得も期待できるでしょう。
5. ブランドストーリーをつくるときのポイント
多くのユーザーに浸透するブランドストーリーをつくるためには、下記4つのポイントをおさえておくことが大切です。
- 自社についての理解を深める
- ブランドストーリーの世界観を大切にする
- オリジナリティのあるブランドストーリーにする
- エモーショナルなブランドストーリーにする
最後に、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
5-1. 自社についての理解を深める
ブランドストーリーの基盤は、自社の存在意義です。自社の存在意義を理解していなければ、ユーザーの心に訴えかけられる適切なブランドストーリーを作成することはできません。
自社の原点である創業者の動機を振り返りつつ、アピールしたい商品・サービスの品質や価格、価値、さらに競合商品との違いも理解しておくことで、説得力のあるブランドストーリーを作成しやすくなるでしょう。
5-2. ブランドの世界観を大切にする
ブランドストーリーは、企業が一貫して伝えるべきコンテンツです。商品・サービスごとに、また短期的に打ち出すものではないため、独自性のあるブランドの世界観を取り入れた普遍的なストーリーを作成することをおすすめします。
ブランドの世界観とは、独自のコンセプトにもとづき構成されたブランドから感じる雰囲気を指します。ブランドストーリーを作成するときは、世界観をしっかりと定めた上で、競合にはない魅力を全面的にアピールしましょう。
5-3. オリジナリティのあるブランドストーリーにする
ブランドストーリーは直感的にユーザーの心へ訴えかけられるシンプルなものがおすすめである一方、シンプルさを追求しすぎるとオリジナリティに欠けた平凡なストーリーになりがちです。
シンプルさを残しつつ、オリジナリティを演出するためには、あえて趣向を凝らすことも有効と言えるでしょう。ひねりの効いた代表的なブランドストーリーの一例として、世界的にも有名なEVメーカーの「Tesla」は、自社を「EVメーカー」ではなく「テクノロジー企業」と呼称しています。
オリジナリティを演出するためにはインパクトの強さに注力しがちですが、大切なのはインパクトではなく、「自社ならではの強みや魅力を正しく、かつ直感的に伝えられるか」であることも覚えておきましょう。
5-4. エモーショナルなブランドストーリーにする
ブランドストーリーは、論理と感情、いずれの琴線にも触れることを意識しましょう。特に、物語性をもつブランドストーリーは、人々の感情を動かしやすいことが特徴です。ユーザーの感情をいかに揺さぶれるかを重視し設計したエモーショナルなブランドストーリーは、ブランディング・マーケティングにも応用できるでしょう。
また、エモーショナルなブランドストーリーは、多くのユーザーで賛否両論が分かれ、時には炎上する可能性もあります。しかし一方で、注目度も大きく高まります。実際にエモーショナルなブランドストーリーがユーザー間で物議を醸したものの、結果として認知拡大・売上拡大・ファン獲得に成功した会社も存在します。
まとめ
ブランドストーリーとは、ブランドコンセプトや価値観をユーザーに共有し、自社のブランド価値を伝えるためのコンテンツです。ブランディングの一環でもあり、商品・サービスの認知度向上、競合との差別化など、ブランド力において良い効果をもたらします。
ブランドストーリーをつくるときは、ペルソナの設定・ミッションとバリューの策定・物語の構成が不可欠です。作成したブランドストーリーを多くのユーザーに浸透させるためには、コピーやロゴの作成、さらに継続的な発信も欠かせません。
独自の世界観やオリジナリティのある価値が伝わるブランドストーリーは、多くのユーザーの心を動かすことができます。自社の知名度・向上に向けて、ぜひ魅力的なブランドストーリーを作成してみてはいかがでしょうか。